ぴぱには、個々の家の前に小さな庭があり、各室の境に、境界を示すフェンスの設置が予定されている。このフェンス製作のデザインが決まらず、スタッフは悩んでいた。
計画時には、ホームセンターなどに売られているラテェラスフェンスを二重に重ねたものを設置する予定であった。しかし、実際に購入して、モデルルームに設置したところ、チョットした力で、薄い板が剥がれてしまうなど、その脆弱性に気付いた。ただ、特に力をかけるような場所でもないので、その計画を進めてもよかったのだが、もっとしっかりした目隠しフェンスを設置しようと、考えたまではよかったのだが……。
さて、時が経ち、思案の末に、強度のあるフェンスを作る事に決まった。その材料は、防腐剤を染み込ませた材。材料をもとにして、フェンスをデザインし、製作に入った。そして、なんとか完成したフェンスを設置しようとしたのであるが、そのデザインに、クレームがついたのだった。
デザインは奥深い。
製作した木製フェンスは、他のスタッフの不評に、再びデザインが再考される事になった。
不評の点は、
まるで壁。日本の民家の木製トビラ。和調のトイレの戸。コンクリートの型枠。横木が邪魔。砦のようだ。風が入らない。少しは隣が見えてもよい……。
様々な意見を聞きながら、担当スタッフは凹み。翌日、持ち帰った木製フェンスを製作スタッフは眺めた。
板壁。無骨。強度満点……。
まず、不評のひとつひとつ改善を考え、実行に移した。まず、縦板を支える横木を取る事にした。ただ、不安定な板を支えるために短くした横木を片側のみで支えた。その結果すっきりし、日本調という感じが減少したが、何かが足りない。
これでは、板が並んでいるだけで、フェンスのイメージが湧いてこない。
そこで、一旦フェンスをばらし、横に詰まった板の間を、数センチ開けて並べてみたのだ。普通アメリカンフェンスなどは隙間がある。その定義に戻ったのだ。
その結果、ぎちぎちと詰まったイメージが、すっきりしてきた。そして、フェンスらしく見えてきたではないか。
目隠しという意味あいに、頑固に考え、隣が見えない方がよいと考えたのだが、多少見えても、風通しや、風景が見えた方が軽やかな感じがするのだ。それに、背後の景色がすきまから見える事により、背景に溶け込み、それまで強固に自己主張していた板壁が、軽く見える。
重厚強固といったイメージが軽やかになったのだ。
不思議なものだ。
アメリカンフェンスも、ラテェラスも、フェンスとその背後の景色が重なり、フェンスと背景が溶け込むのだ。フェンスとは、そんな意味もある事に気付いた。
ばらした部材を様々に並べ変えては、眺めた。
あまり板の間隔を開けると、空白が多くなり、板塀が希薄になり、もの足らなくなる。
詰めすぎると、板壁になる。難しいところだ。
いろいろ行い、感覚的に合意できる部分で固定し、他のスタッフを呼んで見てもらうと、縦にすきまが入った事により、一本一本の板が、スーッと立ち上がり、スマートに見えるという。
風が気持ちよさそうに感じるではないか。
まずまずである。
さて、次の注文だ。
まるでカビが生えているような色だという。建物の色合いに合わないというのだ。この緑色は、染み込んでいる防腐剤の色なのだが。時と共に茶色になり、そして、銀色ぽく変化して行く。しかし、取り付け時に、背後の建物とバランスがとれないのでは問題である。
そこで、オイルステン塗って見る事にした。
下地が薄みどり色なので、オレンジ系のメープルか、ライトオークを塗っても、黄土色のようになってしまうかもしれない。しかし、背後の建物の色が暖色系なので、緑系よりも、よいのでは?という意見に、塗ってみた。
そこそこ、黄色みの強い茶系になった。薄緑色よりも、木製フェンスらしさがでてきた。
これなら、なんとかなりそうな気配であると、思えた。他のスタッフの意見も変わりはじめた。ただ、現場に設置してみないと、判断はつかない。
数日後にぴぱに持ち込み、取り付けて、背後の建物とのバランスを見て、よければ、取り付け、いままで付けたものも、同じように作り直していこうという事になった。
デザインというのは、ほんのチョットした事で、イメージが大きく変わるのには驚かされる。和風の板壁が、洋風の木製フェンスらしくなるのだから、不思議な事だ。
さて、フェンスの顛末はどうなるか?
まだまだ、ぴぱの完成には、時間がかかるのである。
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